2026/07/06 15:16


shiro. で使用しているチェコガラスボタンは、見た目の美しさから「これはどうやって作られているんですか?」とお声をいただくことがあります。今日は、その製法について分かっている範囲でご紹介します。


ガラスを「流し込む」のではなく「挟んで成形する」


チェコガラスボタンと聞くと、溶かしたガラスを型に流し込んで固める、いわゆる鋳造(キャスト)をイメージする方も多いかもしれません。


チェコ・ヤブロネツ地方に伝わる伝統的な製法では、まず棒状のガラスを熱し、柔らかい状態にします。そしてそれを「押し型」と呼ばれる型に押し当て、専用のペンチでギュッと挟むようにして形を作ります。液体を注ぐのではなく、熱く柔らかくなったガラスを型で挟んで押し成形する、というイメージです。


言葉で説明すると単純そうに聞こえますが、ガラスが柔らかい一瞬のタイミングを見極めて型に押し当てる工程には、当然かなりの熟練が必要になります。


デザインの命は「押し型」にある


ボタンの模様や形を決めているのは、この「押し型」です。押し型には、その工房独自のデザインが彫り込まれています。花や幾何学模様、レトロな柄まで、押し型のバリエーションがそのままボタンのデザインバリエーションになります。


興味深いのは、この押し型の彫りそのものが、その工房にしかない技術だということです。同じ工程を知っていても、同じ押し型がなければ同じデザインのボタンは作れません。そして工房が廃業してしまうと、その押し型は世に出回ることがほとんどなく、同じデザインが再び作られる可能性は低くなってしまいます。以前の記事でも触れた「同じ型で作り続けられるとは限らない」という話は、ここに理由があります。


成形のあとは、磨きと絵付け


型で形を作ったあと、ボタンは磨きの工程を経て、表面を滑らかに整えられます。そのうえで、色付け(絵付け)が手作業で行われます。同じ形のボタンでも、色の乗せ方や重ね方によって、まったく違う表情に仕上がります。透明なガラスをベースに、表と裏から色を重ねることで奥行きのある発色を出す技法もあるようです。


型は同じでも、色の組み合わせ次第で無限のバリエーションが生まれる。これが、チェコガラスボタンが単なる資材ではなく「小さな工芸品」と呼ばれる理由なのだと思います。


正直にお伝えしておきたいこと


ここまでご紹介した製法は、チェコ・ヤブロネツ地方に伝わる一般的な製法として知られている内容です。shiro が実際に仕入れている工房の作業工程を、こちらの目で直接確認したわけではありません。この点は誠実にお伝えしておきたいと思います。


ただ、押し型を使った成形、磨き、絵付けという工程を経ていることは、この地域のガラスボタンに共通する特徴のようです。手元に届いたボタンを眺めるとき、この工程を思い浮かべていただけたら、また少し違った見え方をするかもしれません。


まとめ


  • チェコガラスボタンは、型に流し込むのではなく、熱したガラスを押し型で挟んで成形する
  • デザインの核心は工房独自の「押し型」にあり、廃業すると同じデザインが再び作られる可能性は低くなる
  • 成形後、磨きと手作業の絵付けを経て、一つのボタンが仕上がる


小さなボタン一つに、これだけの工程と時間が詰まっています。次にshiro. のアクセサリーを手に取っていただくときは、そんな背景も一緒に感じていただけたら嬉しいです。